都会からほどよい距離にあり、古今の文化人から、週末の隠れ家として愛される小田原には、街の喧騒を逃れ、静かな時を過ごせる場所があちらこちらにあります。散歩の途中にふらりと訪ねてみたい、居心地の良い、とっておきのカフェをご紹介いたします。
お城巡りや町歩きの合間に、「報徳の杜」でひとやすみ
四季折々の草花を楽しめる小田原城址公園は散歩にもおすすめのスポット。ぐるりと公園内を巡った後は、すぐ隣にある報徳二宮神社の杜を訪ねてみてはいかがでしょうか。
報徳二宮神社は、小田原が生んだ偉人、二宮尊徳翁(幼名 金治郎)を祀る神社で、緑に包まれた境内にはカフェやショップがあり、地域のふれあいの場「報徳の杜」として地元の人から親しまれています。
木漏れ日が差すオープンエアのテラス席で、鳥のさえずりに耳を傾けながら、ゆったりとティータイムを楽しむことができます。こちらでは2つのカフェの食事や飲み物が楽しめて、その1つが、二宮金治郎にちなんだ食事やグッズが揃う「きんじろうカフェ」。
金治郎が食べていた呉汁(大豆をすりつぶした汁)や、ポンデケージョにきな粉とカラメルソースがかかったスイーツ「きなぽん。」、和菓子の老舗として知られる伊勢屋の大福などがいただけます。
そして、コーヒー好きなら見逃せないのが、イタリア・チンバリ社のマシンで一杯ずつ丁寧に淹れた本格的なカプチーノ。薪を背負った金治郎のラテアートも可愛らしく、思わずほっこり、心も和みます。
もう1つのカフェは報徳二宮神社が発起人となり、地元の農家や企業が小田原の地域活性化を目指して起ち上げた活動団体「小田原柑橘倶楽部」のカフェ。低農薬栽培で知られる片浦地区のレモンや小田原名産のみかんを使った飲み物が揃い、レモンのジェラートやホットドリンクなどが人気です。
カフェにはショップも併設されていて、小田原柑橘倶楽部のオリジナルアイテムが並んでいます。昔懐かしい缶入りのドロップやビン入りのサイダーなど、レトロでお洒落なパッケージは見ているだけでも楽しそう。小田原土産としてもオススメです。
「報徳の杜」は街の中にあるオアシスのような場所。お城巡りや散歩に疲れたら、ぜひ足を運んでみてください。杜の静けさに包まれれば、疲れた体も心地よく癒されるでしょう。
報徳の杜
ウェブサイト:hotoku.co.jp/hotoku-mori/
古き良き時代に思いを馳せ、「清閑亭」でとっておきのティータイムを
報徳の杜を抜けて小田原城の南側へ出ると、そこには静かな町並みが広がっています。このあたりの高台は「天神山」と呼ばれていて、南側の傾斜地は温かで眺めも良いことから別荘地としても人気。明治から昭和初期の頃には数多くの政治家や文化人が邸宅を構え、「清閑亭」もそうした邸宅の1つです。
清閑亭は明治39年に建てられた黒田長成侯爵の別邸で、平屋と二階家が連なる数寄屋造りの建物となっています。黒田長成侯爵は、天才軍師として名高い黒田官兵衛から数えて14代目。福岡藩主の家柄で、貴族院副議長を務めた人物です。漢詩や書を愛する風雅な人でもあり、粋な網代天井や透かし彫りの欄間、見事な菊花の板絵襖など、建物に趣向を凝らした見事な意匠を見ることができます。
建物の見事さもさることながら、母屋の座敷には座卓が、縁側には小さなテーブルが置かれていて、紅茶やコーヒー、スイーツなどをいただけるのも清閑亭の魅力。縁側越しに庭を眺め、そよ吹く風を感じながら過ごすティータイムは、なんともいえない心地よさ。晴れた日には、真鶴半島から相模湾、箱根の裾野までの景色を一望することもできます。
清閑亭の建物は国の登録有形文化財に、敷地は国の史跡に指定されていますが、現在は小田原市の施設として一般公開されていて入場料は無料。カフェ利用のために訪れるという使い方ができるのも嬉しいかぎりです。文化財でもある歴史的建物で楽しむティータイムは、なかなか味わえない贅沢。小田原の地を愛した文化人の気分に浸りつつ、古き良き時代に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
清閑亭
開館時間:午前11時~午後4時 火曜休館(臨時休館あり)
ウェブサイト:city.odawara.kanagawa.jp/
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